リベラルアーツの大学教育【シラバス公開編】
こんにちは。ケンズです。
大学の授業は何となく分かった。。でも実際のリベラルアーツの大学のシラバスが見たい!テンプレのシラバスがあれば見せてほしいです!シラバスには何が書いてあるの?詳しく解説もしてほしいです。
本記事はこういった疑問にお答えします。
この記事を書いている私はリベラルアーツの大学卒なので詳しく解説します。
本記事の内容
- シラバス公開
- 解説編
1.シラバス公開
シラバスとは授業内容、週ごとのスケジュール、テストのリスト、課題、授業の目的、成績の割合などの基本情報が記載されたドキュメントのことです。シラバスは初日の授業で配布されることが多く読むことで授業の概要をつかむことができます。リベラルアーツの大学のシラバスにはかなり細かい課題の情報が片隅に載ってることもあるので配布されたら必ず読んでください。
では、さっそくリベラルアーツの大学のシラバスをご覧ください。私が受講した哲学の授業のシラバスを翻訳したものになります。その後に解説をいたします。
シラバスの内容一覧
- コース名、授業時間
- コースの概要
- 指定テキスト
- 学業不正規定
- 成績の評価方法
- 提出期限の規定
- 成績の規定
- 単位の規定
- テキストと授業のスケジュール
1.コース名、授業時間、オフィス時間
哲学入門 春学期 2017 PL 108 講師名 オフィス 211 ホール
授業時間:月、水、金 10:00-10:55
オフィス時間:月、水、金 9:00-10:00, 火、木 10:00-10:55
2.コースの概要
このコースでは西洋の伝統的なテキストを読んで哲学の基礎的な問題を扱います。目標は西洋の発展に影響を与えた根本的な問題の基本的な知識の理解。そして、認識論的な質問を含む心身問題、自由意志、決定論、神の存在と道徳的/政治的理論なども見ていきます。このような問題が伝統的な哲学から見るとどの様な位置づけなのかを考察していきます。
3.必読テキスト
哲学:真実への旅、9版、ルイス著(オックスフォード:オックスフォードUP,2017)
4.学業不正規定
不正行為は大学の学業不正規定の違反となります。罰則の範囲は試験/論文の取り消し、コースの単位の取り消しに及びます。大学の方針に従って、教員は学問上の違反を大学に報告する義務があります。
5.成績の評価方法
成績はクラスの出席とディスカッション、ディベート、2つのエッセイ、2つの試験によって評価されます。
成績の10%はクラスの出席と参加に基づいています。ディベートのグループディスカッションも成績の10%になります。成績の40%はクラスで取り上げたテーマに基づいたエッセイの2つ。論文は5〜7ページとする。(それぞれ20%)残りの40%は中間試験と期末試験の2つの試験に基づく。(それぞれ20%)
試験の内容と構造についてはクラスで説明します。
6.提出期限の規定
エッセイの提出日から1日遅れるごとに5ポイントの成績を差し引きます。試験については2つの条件を満たしていることを前提に追試を許可します。1つ目は正当な理由を提示する必要があります。正当な理由とは大学が認可したイベント(サッカー大会への参加など)災害、病気、家族の緊急の用事などに限定されます。
2つ目は追試を受ける必要があることを少なくとも24時間以内に担当教員に通知する必要もあります。それ以外であれば試験の実施は認められません。
7.成績の規定
成績:論文の成績、試験、クラスへの参加率に応じて成績をつけます。成績は次の指標に基づいています。
A= 100-93;A- = 92-90; B + = 89-88; B = 87-83; B- = 82-80; C + = 79-78; C = 77-73; C- = 72-70; D = 69-60; F = 59-0。
8.単位の規定
最終日まで単位を落とすことを許可する。
9.テキストと授業のスケジュール
第1週:1月16日-シラバスの概要。 1月18日—哲学とは何か:ラッセル、「哲学の価値”; 1月20日—プラトン、「ソクラテスの知恵」 |
第2週:1月23日-「論理について」; 1月25日—宗教哲学/悪の問題:ヒック、「神が悪を許す理由」; 1月28日-ジョンソン、「なぜ神は悪を防ぐために介入しないのか?」 |
第3週:1月30日—信仰と理性の関係:W.K.クリフォード、「信念の倫理」; 2月1日—ウィリアム・ジェームズ、「信じる意志」; 2月3日—討論:神を信じることは合理的か?」 |
第4週:2月6日-クラスなし。 2月8日—認識論/私たちが何を知ることができるか:デカルト、「デカルトの疑念と基礎知識の探求」; 2月10日-ジョン・ロック、「経験論者の知識の理論」 |
第5週:2月13日-ロックを終わらせる。ヒュームについて、「私たちのアイデアの起源」と「理解に関する懐疑的な考察」; 2月15日-ヒューム終了。ホスパーズ、「懐疑論に対する反対論」; 2月17日-シーゲル、「相対主義」。心の哲学のイントロ。 |
第6週:2月20日—心/心身問題の哲学:チャーチランド、「機能主義についてそして唯物論」;最初の論文提出日; 2月22日-チャーチランドの論文で終了。ネーゲル、「コウモリであるとはどのようなことか?」; 2月24日—中期試験 |
第7週:2月27日-エドワーズ、「生存に対する反論」; 2月29日-ヒック不死に関しての擁護”; 3月2日-討論:死後の人生はあるか? |
第8週目:3月5日から3月9日-クラスなし(春休み) |
第9週:3月12日—意志と決定論の自由:ホルバッハ、「私たちは完全に決定されている”; 3月14日-ジェームズ、「決定論のジレンマ」; 3月16日-討論:自由意志vs決定論 |
第10週:3月19日—倫理/道徳的に絶対は存在するか?:ベネディクト、「道徳は相対的”; 3月21日-レイチェルズ、「道徳は相対的ではない」; 3月23日-討論:道徳的相対主義 |
第11週:3月26日—正しい道徳理論はあるのか?:アリストテレス、「徳の倫理」;3月28日-アリストテレスの続き。カント「道徳法則」を始める。 3月30日-カントで終了 |
第12週:4月2日—ミル、「功利主義」; 4月4日-サルトル、「実存主義倫理」; 4月6日-クラスなし |
13週:4月9日-サルトル終了。レイチェルズ、「神命説」; 4月11日—、「ケアの倫理」; 4月13日-政治哲学:ホッブズ、「絶対主義者の回答」 |
第14週:4月16日—ロック、「民主的な答え」; 4月18日—ミル、「古典的な自由主義回答”; 4月20日—討論:私たちは反乱する権利がありますか?; 2つ目の論文提出日 |
第15週:4月23日-エピクテトス、エンチリドン。 4月25日—カミュ、「人生は不条理である」; 4月27-バギーニ、「人生を前に進む」 |
第16週:4月30日-クラスの最終日。期末試験 |
注:このスケジュールは暫定的なものになります。諸事情により授業の進行速度を変更する場合があります。時間の制約により読書リストまたは試験スケジュールの調整をすることもあります。もし変更があった場合は生徒に通知をいたします。
以上です。
2.解説編
では項目ごとに分かりにくい箇所を解説します。
コース名、授業時間
PLは哲学(philosophy)の略。そして108は基礎クラスの授業であるということ。オフィス211 ホールとは教員のオフィスの場所と教室棟の番号です。
コースの概要
コースの概要を読めば授業の内容を把握できるので読むのをおすすめします。シラバスによってはかなり詳細に記載されていることもあります。
指定テキスト
最低でも指定のテキストは1冊以上あると考えましょう。教科書の指定があるのでチェックです。この指定のテキストはRequired text/Essential textと呼びます。そして、補助テキストはSupplemental textといいます。
基本的には指定のテキストだけを読めばいいです。ですが、さらに読み込みたいのであれば補助テキストも読んでも構いません。両方のテキストはレンタルすることができるので購入する必要はありません。
学業不正規定
不正行為やカンニングなどは重く受け止めたほうがいいと思います。日本の大学とは違い剽窃などにはかなり厳しかったりするので警告や課題の取り消しだけでなく、授業の単位を落とすということにもなりかねません。
成績の評価方法
成績の評価方法は授業の形態や学科によるものが大きいです。例えば、文系科目であれば論文数の配点が大きい。理系科目であれば研究や実験の配点が大きいなど細かく分かれているので確認をしましょう。
提出期限の規定
課題の提出日や試験日などがシラバスには記載されているので確認しておきましょう。リベラルアーツ大学生でありがちなのが提出期限ぎりぎりになるまで課題に取り組まないというもの。提出期限が過ぎると成績が落ちるので期限内には提出しましょう。課題が提出できない、もしくは試験が受けられない時は担当の教員にメールで事情を説明しましょう。
成績の規定
成績の点数に応じてアルファベットが付きます。成績の指標としてA~Fまであります。Aという成績でもAとA-が存在します。またはB+とBとB-も存在します。成績は細かく付けられているのが分かりますね。これは正確に学生の成績を細かくつけることで大学の成績の信頼性を上げることになるからです。
単位の規定
単位に関して具体的には>>参照:リベラルアーツの大学で学ぶこと【授業編:その2】で解説しています。
テキストと授業のスケジュール
学期のスケジュール、課題提出日、テキストの範囲、授業内容、試験日などが記載されています。これを見れば1学期の授業の流れは分かります。たとえば、6週目と14週目に論文提出が確認できると思います。提出日が詳細にもう決定されているので自分のスケジュールに追加して早めに取り掛かるということもできます。
基本的にはこのスケジュールで授業が進みますが変更されることもあるので覚えておきましょう。
ではまた